Mosquitoes regret

喪失と自責の記

2021-01-01から1年間の記事一覧

スクワランオイル

夫に似て肌が弱い息子の髭剃り後に夫が使っていたスクワランオイルがいいんじゃないかと、まだあっただろうと探したのに見つけられなかった。 納骨を踏ん切りに、洗面台周りを少し片付けた時に、使いかけは捨てたかも知れない。 それとも… 生前からもう切ら…

信じる力

茶の間の押入れの下半分を、私の趣味の道具や材料等等が占めている。 もう気が乗らなくなった物や、いつか使うかも…と、かけた元手を考えてケチ臭く捨てられない物も多くて、整理しなければとは思うが、触れば時間を喰い潰すのが目に見えてるから触れないで…

思い出形見

コッソリと置いて来た手紙と茶菓子、それに手前味噌のフォトブックが、無事にグリーフサポートの世話人の手に渡った様で、丁寧なお礼のメールを頂いた。 土曜と言う事もあり、そうかも知れないと思った通り多忙であった為、置き去りは感謝されたが、せっかく…

天地コラボレーション

本人は苦手意識があって、多くは描いてないが、夫の描く絵は邪心がなく、技巧を追わず、とても魅力的だと私は思っている。 先日、捜し物をしていて、何枚か彼の線画が出て来て、とても嬉しかった。 思い付きでスマホでスキャンして、アプリで私が色を乗せて…

引き継ぐ

前前記事と前記事の、グリーフワークサポートを受けた帰り道、いや、行きの道すがらも、沿道の空気や佇まいがとても好ましく感じられて、この道を息子にも教えてやりたいと思いながら歩いた。 所謂観光地だが、雨の平日午後だった事もあり、人の姿はまばらだ…

贈り物

グリーフワークを対面でサポートして貰って、自分が縋り付くように自責に拠り所を求めていた事、それは自身の苦しさ辛さ、自分を醜いと、汚いと罵りたい、この穢れた自分が赦せない…と言う、全て『自分優先』から来ている事を指摘され、今はここでない場所に…

我執

我執は自分に対する執着で、仏教ではその克服が重要な課題とされる。 意識ある生きものを有情といい衆生というが、その主体として、恒常・不変の自我が実在すると考えて執着することを言う。すべての存在に実体があると考える「法執」と対をなしている。この…

ユマニスム

夫との死別以前、父を施設に一人置いて、生きる事、死ぬ事、介護と言う事について夢遊するように頼り縋れる何かを探して彷徨って、本を読み、話を聞き、心に残りながら確かには理解する事が出来ずに今日まで来た言葉の1つが「ユマニチュード」だった。 昨日…

『恢復する家族』

今朝から読み始めた、かつて朗読した本が、溢れる程いろんな気付きや新たな思索の種を与えてくれていて、身体の内側がまだ震えている。 最初の『つらいかた』20ページ程を読んだだけで、ああ…当時の私の中に入りようが無かっただろうな…あの頃、私は文中の御…

シンクロニシティ

昨日、注文した本がもう届いた。 以前、朗読ボランティアでお預かりしたのは、この文庫の発行前に刊行された単行本だったのだろう。 単行本1995年2月刊行、 文庫本1998年第一刷発行となっている。 手軽な文庫で探したが、新品が見つからず古本を取り寄せたの…

回復、恢復

回復とは? 私はどの状態を目指して治療を受けているのだろう… 夫との死別から繋がった精神科だが、Dr.が指摘した様に私の鬱はもっと以前からのもので、一体いつまで遡れば健康で戻りたい自分に辿り着けるのだろう… ふと、 結婚して仕事を辞めた後、朗読ボラ…

家族旅行

熱海の温泉に一泊して来た。 コロナ禍で遠出自体が久しぶり…泊りがけでは何年ぶりだろうか… コロナ禍がなくても、夫の闘病が始まり、それどころではなくなったけれど、動けるうちにどこかに家族旅行を…と言う気持ちはあった。 しかし、筋力が落ち、気力も落…

子育て不安→自助グループへ

まず、子どもを死なせない事。 生まれた翌日死んだ弟2の影が過る… 新生児の死因は不明な事が多いらしい。 母は生まれた直後の弟2の顔を見たきり、亡骸には会わせてもらえなかった、当時は母親のメンタルに配慮して会わせないのが一般的だった様だが、母は出…

1番の苦しみ

ここまでの人生で最大の苦しみは夫の病と死だった。 この先、これを越える苦しみがあるとしたら…子を喪うことだろうか… そう思っていた、が、違う。 子が、誰かに陰湿にいじめられる… 多分、これが私に取っての最大のダメージだろう。 子はもう成人、だけど…

荷物

夫はバイク乗りだった。 私は原付バイクで通勤していた事はあったが、大きいバイクの後ろに乗るのは初めてだった。 まして後ろに乗せたことなどない、最初はわからず、運転する夫にしがみついたが、どうやって乗るのが運転しやすいのか尋ねた。 「しがみつい…

機能不全家族からの離脱

実家は、母の不機嫌が支配していた。 何か聞かれても、母の中の望ましい答えを選ばないと不機嫌になる。 面倒なので、なんでもいいと言うと、お前は自分の意志がないと責められた。 そのようなコミュニケーションに馴染んでいた私も、夫との生活で、無自覚に…

この先に…

子どもが独り立ちした後、燃え尽きる『空の巣症候群』に、私はなるだろう… 心血注いだ子育てが終わり、息子は自分の人生を歩く、その背中を涙しながら見送る… その日を怖れながら、子の小さい頃の可愛い服やオモチャを、その先の慰めに取ってある。 アルバム…

使命

私は恵まれてる。 子どもは成人し、社会人となった。 残りわずかとは言え、家のローンも弁済になった。 定年まえだったから満額には届かなくとも、退職金も出た。 大分解約してしまっていたが、会社で入っていた保険からも支払いがあった。 堅実な夫は、一部…

尊厳

ALSの告知と同時に早期の胃瘻造設を勧められた。 最初の症状が食事中のむせ込みだったので、食事が進まなくなっていた。 「今なら1つ押えられる、月末に造設手術の予定も入れられる」 主治医には言われていた。 だが、夫は胃瘻を拒否した。 私はネットで調べ…

届かなかった想い

思慮深く理性的で、時には利他的な夫は、人として私の何段も上で、自分を恥じる事も多かった。 子どもが生まれてからは、それでも子を最優先にはしない彼に不満も持った。 けれど彼には、巡り巡って結果的に我が子の幸せに貢献すると言う、大局的な愛情があ…

いつの日か 旅する者へ

私は子を見過ぎる母親である事を自覚していて、いつかこの子が巣立つ時、その足を掴まない様に… いつか、近い未来、私と夫の肩を強く蹴って飛び立つ我が子の足を掴んでしまわない様に… それが出来たら、夫に褒めて貰えるだろう、夫の元で安心して泣けるだろ…

遺恨・告知翌日

告知の場には、夫本人と私と息子の他に、私の弟1夫婦にも同席して貰った。 義兄にも連絡を取ろうとしたが、繋がらなかった。 弟には、大学病院に繋がってた時に、私がひとりで抱える事に耐えられなくなって電話した。 この病院は、弟2が生まれ、翌日に死んだ…

遺恨・告知

後悔なら枚挙に暇がない。 どれもこれも適切だった、良い手だったとは思えない。 その中でも大きな棘となり、日を追うごとに疼くのは、告知とそれに纏わる私の対応… 初見で疑われたALSの正式な診断の為には、いくつもの検査が必要だった。 それ以前に若年性…

野生の母

赤ん坊を連れて夫の待つ自宅へ戻り、新生活の始まり。 春と言ってもまだ寒さも残る、古い木造の貸家に、義父と義兄がエアコンを取り付けてくれた。 なのでうちのエアコンは子どもと同い年だ。 それと、子どもと私が過ごす部屋と廊下を隔てるドアがないので、…

呪い

待望の『家族』となった。 しかし、帝王切開は出産ではあるけど手術。 大学病院は非常に混んでいる為、割と早く退院させられる。 私は出血が多かったせいで術後の回復が芳しくなく、当日になるまでハッキリせず、退院と決まればアレコレ手続きやレクチャーが…

モスキート、母となる

忌まわしい因縁のある病院で、初めての子を産む事は、出来れば避けたかった。 けれど、季節は12月、年末年始を控えて、紹介状のない病院をあたるのも冒険だ… まごまごしてる内に何か急変があったら…そう思うと、あの、弟の亡き骸と対面した病院を選ばざるを…

プレ・モスキート時代

結婚は家庭を作る為のもので、家庭には子どもが居るものだ、と信じて疑わなかった。 子どもを持たないなら結婚する意味はないような気がしていた。 敢えて子どもを持たない夫婦がいる事も、自分達に子どもが授かるかどうかわからない事も、理解はしていたが……

モスキートの言い訳

結婚して幸せな家庭を作る。 ありきたりな、でも、決して努力だけでは叶わない夢だ… その能力も運の良さも持っていないと知っていた、だから公言出来なかった。 前述の通り、私の弟は幼くして入院、手術を経験している。 当時は助からないと診る医師もいた。…

モスキートな私

ブログタイトルは『蚊の告悔』をグーグル翻訳したらこうなりました。 蚊とは私。 夫と再会した20代の終わり、私は結婚がしたかった。 親経由のお見合いもしたし、某相談所にも登録し、何人かと会った。 それまで、まともに恋愛の経験はなかった。 そう言う事…

さよなら応援団

今日、封印箱を開いて中身を整理した。 まとめて注文した方が安いからといろんな味が入ったゼリーセット、滑らかな食事を作るゼリー化剤、減っていく食事の量に追加する栄養剤等みんな廃棄する。 在宅医に頼んで処方して貰ったエンシュアリキッドも開栓して…