Mosquitoes regret

喪失と自責の記

痛みを辿る旅

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一周忌が終わったら…
納骨が済んだら…
先延ばしにして来た片付けを少しづつ…と思うけど、彼が使っていた日用品を、仕舞うなり捨てるなりして目に触れなくしてしまう事に、途方もない抵抗がある。

まるで、もう居ないみたいじゃない…
体はなくても居るのに…!
そう叫んで抗う自分がいる。

でも、彼の名残を埃がたまるままに置いて置くのはどうなの?
ちゃんと仕舞っておいた方が、心を込める事になるのでは?
そう思っても、手にすれば涙が出る。
捗らなくても仕方ない、少しづつ折合いを付けて行こう。

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亡き友に、いつものファミレスで会ったのは、2018年の秋、父の一周忌に新潟にある墓に納骨に行った報告をしたあと…

「余命宣告を受けた」と告げられた時、世界が凍りついた。
そんなバカな…
だって、貴女とこの先ずっとこうやってお茶をして、いつか年寄りになって、一緒に温泉とか行って、「あの頃は本当に大変だったよねぇ〜…」って語り合う未来、それだけを楽しみに生きて行こうと思っていたのに…
その未来が来ないなんて、何かの間違いだ!

それでも
その時はまだ時間はあると思った、多分彼女も。
その日が最後になるなんて、二人とも思ってなかった、だからイカニモな別れをしなかった、またねと手を振って…

メールのやり取りを重ね、何度かの再会の予定は彼女の体調で流れ、私は「大切な時間を家族と過ごして」とメールした。

だから、苦しんでいる彼女を私は知らない。
家族と、愛する人達と別れねばならない辛さを、その時の私はまだ知らなかった。

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思えば、もうずっと、父の認知症が進み、家族の諍いに巻き込まれて、私はズタボロだった。
実際には介護も何もせず、離れて暮らしていたが、揉める度に私に加勢せよと迫る母、母の我儘にキレる弟、暴れて警察を呼んだと聞く度に、我が子や夫に災いが及ぶのではないかと怯え、無能な娘である自分を恥じた。

多分、その頃から、私は夫に「死にたい」と言っていた。
息子に聞かせてはならないと言う自制心は残っていたが、夫には甘えてしまった。
「そんな事言うなよ」
困った顔で、繰り返す夫。

今、思い出しても涙が出る。

私の「死にたい」が彼を殺したのだ。

科学的にそんな事はあり得ない、わかってる。
それでも、私のせいで彼はあんな病に連れて行かれたのだ、その思いが私を捕らえて、悲しい以上に己の罪深さに震えるばかり…
ただ申し訳無い…悲しむ資格など私にあるのか…

それが私の告解、懺悔の取っ掛かり。

ここでは更に過去に向って、芋づる式に引き上げて、少しづつ向き合って行きたいと思う。