Mosquitoes regret

喪失と自責の記

呪い

待望の『家族』となった。

しかし、帝王切開は出産ではあるけど手術。

大学病院は非常に混んでいる為、割と早く退院させられる。

私は出血が多かったせいで術後の回復が芳しくなく、当日になるまでハッキリせず、退院と決まればアレコレ手続きやレクチャーが入り、赤子を迎えに行くとオムツがヒドイ状態に…

連絡が上手く付いていなかった様で、放置されてたようだ。

看護師がそこに何人も居るのに…あまりに不憫でオムツを替えながら「ゴメンね、ゴメンね」とボロボロ泣いてしまった…

新たな門出だと言うのに…


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実家がありがたかった。

普通に分娩しても産後は安静が必要と言われるが、腹を縦に切られて、立ち上がるのも咳をするのも辛い…入院中は新生児室まで、初日は車椅子で運んで貰った。

実家ではすぐ隣にいる、でも母乳の後ミルクを作り、飲ませ、ゲップをさせ、寝かせ、おっぱいケアと搾乳、哺乳瓶の洗浄、煮沸…とヘロヘロになる。

 

確かに実家で衣食フォローして貰えたのはありがたかった。

ただ、母からの身内ならではの遠慮のない言葉にズタズタになった。

幽霊の様になって台所で哺乳瓶を煮沸している所に来て

「母乳ならそんな事しなくて済むのに、頑張って母乳だけにしなさいよ」

母乳がいいと私自身も思っていた、だが足りないのだ、頑張ってマッサージも続けている…

「ふーん…ダメなおっぱいだね!」

ブツンと何かが切れて、私は母を蹴っていた。

母は激昂して、オマエは甘えてる、親を足蹴にするとは…と言うような事を捲し立てた、と思う、私は号泣して謝ったがその時の事はよく思い出せない。


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娘がおかしくなってるのを見取って、母は哺乳瓶をレンジで煮沸出来るキットとミルク用のお湯が適温にキープされる保温器を買って来てくれた。

今思うと、こういった物が必要だと思い付けない自分が、お花畑だったな〜…と反省する。

妊婦向け雑誌も買っていたが、帝王切開ケースはマイナーな扱いだった。

元々健康で、手術どころか入院が初めてだった。

家族は皆経験者だったから、私一人健康なのを父は「オマエはいつかヒドイ目に合うぞ」と呪いの様な事まで言った。

今思ってもヒドイ…

そんな呪いまで、夫が代わりに持って行ってしまったのではないのか…と今、震えている。