この先に…
子どもが独り立ちした後、燃え尽きる『空の巣症候群』に、私はなるだろう…
心血注いだ子育てが終わり、息子は自分の人生を歩く、その背中を涙しながら見送る…
その日を怖れながら、子の小さい頃の可愛い服やオモチャを、その先の慰めに取ってある。
アルバムを、涙しながら見返す日がいつか来る…
そう思って来たのに…
その時、支えてくれるはずの夫が、先に旅立ってしまった…
こんな事、一欠片も予想しなかった…
たから、夫の思い出の品も、写真も、ろくにない…
見送ると思っていた息子は、一人になった母を置いて出て行かないだろう…
子育て中、子どもに対して「申し訳ない」と泣いていた頃、17才位に育った息子に「オレの人生を返せ!」と背中から刺される未来を夢想していた。
そうされても仕方ない、私が母でごめんなさいと思っていた。
それが…我が子ながらしっかりと育ち、自分の道を歩いている。
これも夫のお蔭だ。
夫の理性的な血が息子に受け継がれたお蔭で、夫を喪った母を、父を喪った息子が支えてくれる…それも申し訳ないのだが…
想定外の未来に生きている。
この先を、どうやって夫の恩に報いて生きればいいのか…
当座、私は鬱を治療して、息子に心配掛けずに、それなりに生きて行かなければ…
息子に縋り付かないで生きたい。
息子の足枷になりたくない…
と言って、無闇に大丈夫なフリをしてぶり返さない、あるがまま正直に認め合えたらいいな…
モスキートは最終的には自身も養分にして与えたいのだ…