家族旅行
熱海の温泉に一泊して来た。
コロナ禍で遠出自体が久しぶり…泊りがけでは何年ぶりだろうか…
コロナ禍がなくても、夫の闘病が始まり、それどころではなくなったけれど、動けるうちにどこかに家族旅行を…と言う気持ちはあった。
しかし、筋力が落ち、気力も落ちた夫には出掛けたい意欲が削げ落ちていて、本人の望まない旅に、無理矢理思い出作りの様に連れ出す決断が私には出来なかった。
それでも行けば「行って良かった」と、後々思っただろうか…
夫は無理矢理にでも連れ出して欲しかっただろうか…私達が大変だろうと遠慮したのだろうか…
夫はフラッと計画なく旅に出る事が好きだった。
海外にも一人で何度か行っていた様だ。
そんな夫でも、いや、だからこそ思い通りに動けない旅は、彼が望むものではもはやなかったかも知れない…
息子は、社会人になってボーナスでどこかに連れて行きたいと言う気持ちが、ずっと燻っているのは感じていた。
自家用車がないので、家族揃って出掛ける時は公共交通機関かレンタカー、車に酔いやすい息子を連れてあまり遠出はして来なかった。
泊まり掛けで家族旅行に、さいごに行ったのはいつだったろう…父の葬儀の帰りに、途中の温泉に泊まった時か…もう4年前…
夫はアトピー持ちだったので、温泉をあまり楽しめなかった。入浴後の肌ケアの必要があるので、自宅が一番寛げる様だから、日帰り温泉やスーパー銭湯にも、息子と私二人で行く事が多かった。
熱海には家族で泊まりに来た事がある。
今回は違う宿にしたが、海に面した部屋から、夫の位牌と一緒に朝日が昇るのを見る事が出来た。
いつかまた、親子3人で泊まったあの宿にも泊まりに行きたい…
熱海には日帰りで遊びにも行った。
いつだったか…幼稚園の息子のお気に入りのTV番組の録画予約を、お出掛け準備の慌ただしさで忘れてしまった事を、現地で思い出して、息子に伝えたら、その場にしゃがみ込んで泣き出し「帰る!」と言い出した。
泊まろうかと言う話になっていたので、夫は呆れてしまったが、私は、息子が、その番組を彼の世界の中心に据えていた事を知っていたので、録画を忘れた自責もあり、帰る事に賛同したのを覚えている。
こんな時、番組の録画を頼める友達が居ない自分をも自責した…
熱海には、独身時代にもなんども来ていた。
今回初めて初島に渡ってみた。
風が強く、白波が立っていたが、高速艇は23分で島に着いた。
全ての旅程を夫も同行したと思っている。
帰路につく前に、駅前で見つけたクラフト体験に飛び込みで挑戦した。
左のボトルは息子が、真ん中のステンドグラスは私が、初めてチャレンジした作品。(右のボトルは既製品)
夫の写真のフレームに出来たらいいと思った。
飛び込みにもかかわらず、丁寧に指導して頂けて、是非また訪れたい場所になったクラフト工房さん。