贈り物
グリーフワークを対面でサポートして貰って、自分が縋り付くように自責に拠り所を求めていた事、それは自身の苦しさ辛さ、自分を醜いと、汚いと罵りたい、この穢れた自分が赦せない…と言う、全て『自分優先』から来ている事を指摘され、今はここでない場所に行った夫に対して、夫を思っての事ではない事を気付かされた。
夫がそれを望んでいるか…
私が罰される事を欲しているか…
いや、きっと彼は望まないだろうと分かっていながら、自分の気持ちを優先している…
たとえ神様が許さなくても、彼は許すだろう…
罪の気持ち、自分を罰したい気持ちは消えない、それでもそれは私が死ぬまで抱えて行く事で、それを言い訳にして良いわけではない。
抱えたまま歩いて行くんだ…
抱えたままの自分を愛そう。
彼ならそうしてくれるはずだから…
そう思えたら、やっと、淋しさの涙が流れた。
サラサラと、嗚咽なく、ただ静かに後から後から流れ出て、自分でも驚いた。
そして安堵した。
自責と言う蓋で、これ以上血が流れてしまわないように、上から押さえて来たけれど、もしかして、その手を外して蓋を取ったら、何も無いがらんどうだったら…いや、もっとおぞましい真っ黒い化け物だったらどうしよう…そんな思いに慄いていた…
よかった…
ちゃんと悲しみがあってくれて…
もう、悲しい時、自分を責めて「ごめんなさい…私のせいで…」と自分にナイフを突き立てて、「どうして私が死ななかったのか…あなたの代わりに…」と斬り刻む事を辞めて、やっと…
やっと、「あなたが居なくて寂しいよ…」と泣ける…
やっと…「夫を救えなくて死なせた妻」から「夫を喪った妻」のスタート地点に立てた…
どう考えたって、夫は私が前者であるより後者である方を望むだろう。
それなら神様が許さなくても、私は夫が安らかな気持ちで居てくれる方を選ぼう。
この淋しさは贈り物だ。
罰なんかではない、夫を想い、遠慮なく寂しがれる…この先も夫を愛して行ける…
そういう淋しさをやっと手に入れた…
抱き締めて行こう。
この淋しさは、かつてあったものが欠けた穴、埋まっていた穴がまた抜け落ちて、風が吹き抜ける音が身を切っても、かつて埋めていた人が居た、その幸せは消えない。
欠けても、存在は無くならない。
彼の不在を抱き締めて、淋しさに泣ける、私は幸せなのだ。