Mosquitoes regret

喪失と自責の記

GW前

夢を見た。

引っ越した家は小さくてそこそこ古い、けれど暖かく、庭が広い。

洗濯物をたくさん干して、夫と息子の水筒を洗って、冷蔵庫から麦茶を出す、夫は空を見て雨を気にしてる、確かに雲が少し夕焼けになりながら広がって来て、パラパラ雨が落ちて来て、慌てて洗濯物を取り込む、夫がやって来て「オレがやるって言ったのに…リアクション薄いってか…?」とか言う。

雨はすぐ止みそう、だけど日も暮れるし…

ふと見るとお隣の家の夫婦と息子さん(うちより少し上)の姿、挨拶、子ども達はすぐ仲良くなり一緒に遊ぶ。

そこへピンポーンと鳴り、オンラインの誰かが遊びに来る、息子に声を掛けて、どうぞーと促す…

 

ん?これはメタバースなの?

とても穏やかで居心地のいい家だった。

危なくない広い場所で伸び伸び走り回って遊ぶ子どもを眺めて過ごすのは至極の時間だ。

そんな風に、私はアチラでは夫とゆったり過ごしているのだろうか?

それはきっと幸せだな…


f:id:kazanea:20230429130004j:image

 

この4月から、多動のターンに入って、月の半分位外出している。

夫が何故、助からない病になって、苦しんで死ななければならなかったのか…

納得も理解も出来ず、腑に落ちなさから知りたい気持ちが出て来て、「生と死」や「生きる」や「言葉とは、伝えるとは」みたいな本を、グリーフを超えて学びたくなって、大学のオープンカレッジや講座等の予定を入れた。

こんな動機でなければ決して乗り出さない、未知の土地の未知の体験。

不慣れな乗り換えに尻込みしても、でもきっと夫は面白がって色々試そうとするだろう…行った先で新しい何かに出会う事を楽しみにしただろうな…と思えるから、夫を連れて行こうと思えた。

 

折しもコロナ対応が変わり、あっという間に観光客はコロナ禍前に戻り、電車も混んで来てマスク無しの人も…

引き篭もりのひ弱なナメクジは、遂に風邪に倒れた…

喉の違和感から熱…喘息の薬を処方され、今日で5日目…

 

唾液を飲み込むのも激痛、たん絡みで咳が出るから体を立ててウトウトする夜…

苦しいな…でも夫はもっと苦しかったろう、辛かったろう…

 

そうか…

私が腑に落ちない、わかりたいと望んだから、教えてくれてるんだな?

ありがとうね…

私は風邪だと、この辛さもやがて去って元に戻ると知ってる、でもあなたは…回復がない未来をどんな気持ちで見つめたのだろう…思うと涙が止まらない…

すぐ近くに居ながら、あなたのさびしさ、辛さに寄り添えてなかったと思うから、自分を責めた…

私に足りなかったものを、一つでも拾えるのなら…と勇んで出掛けた先では、自らの異質さを思い知る事もあった、そして要らない風邪を拾って来てしまった…

全く…ダメだな…

凹んだ私にあなたは慰めをくれたのかな…?

苦しみの中、このまま連れてってくれても構わない、でも、息子が悲しむかな?悔やむかな?

こんなに若くして両親亡くして頼る親戚もなく…それでも息子ならなんとかする気はする、私が足手まといに残るより…とも考える…でも…

夫なら「可哀想でしょ?」そう言いそう…

私が残って、息子を見守る、それだけでも居た方がいいのかな…?

そんなわがままを、私は許して貰っていいの?

そんな会話を繰り返して…朝、冒頭の夢を見た。

喉の痛みはだいぶ軽減した。

もう一息かな…?



f:id:kazanea:20230429130213j:image

お出掛けモードのブーストが終わって、これから世の中は丁度ゴールデンウィーク、コロナ禍明けのお祭りに繰り出すつもりはないし、溜まった積ん読本を読み、依頼を受けた似顔絵を描き、静かに、この病床で夢うつつで見た情景と夫からのかすかな発信を、よりよく受信出来る様に、アンテナを日々リノベーションして行きたいと思う。