Mosquitoes regret

喪失と自責の記

『死なない子ども』

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昨日、三鷹の天命反転住宅に行って来た。

荒川修作の名を知ったのは数日前だ。

オートポイエーシスについて知りたくて、河本英夫さんの本をあれこれ見ている時に、その奇天烈な建築を知った。

岐阜と愛知に大掛かりな魅力的な施設もあるが、距離的に現実的に見られそうなのは三鷹のこれだな…と思ってホームページを見たら、荒川修作のドキュメンタリー『死なない子ども』の上映会の企画があった、即日申し込んだ。

荒川修作の名を知ったその日だ。



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この家は息子にも見せたい…

そう思って誘ったが、募集定員が10人と言う少なさだったので、息子は遠慮すると…

まあ、そうか…特に興味のない人が是非見たいと思ってる人(もし居たら)の席を奪うのは気が引ける…

一人でも行こうと思ったが、今借りてる本を読み進めたら、某老人ホームが例として登場してきて、それが夫の勤務先に関係する施設であったため、これは夫からの誘導と感じた。

どうしても息子を連れて行かなくては!

前日になってもまだチケットが販売されていた。

息子を口説いて一緒に行って貰う事に。

予備知識無しの息子が反感を持つか面白いと思うか…それはどちらでも構わない、ただ見せたかった、観てほしかった。

『死なない子ども』の監督で、実際にこの住宅に住んでいた山岡信貴さんに部屋に通された。

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現在も住人がいる集合住宅なので、企画がなければ入れない。

実際に入って、まず床が凸凹。

画像で知っていた円形の部屋は滑る、山岡さんは裸足だった。

私は何もかも面白く楽しかった。

ドキュメンタリーも含めて。

 

息子は…そうかなと思ったが怒っていた、荒川氏の上から目線での文明批判に対して。

積み上げてきた文化や言語を否定するなら、それを使わず自作すればいい、先人に対してリスペクトがない、いや否定する言説は、荒川氏のヘタさが出ている、と私は思うし、それも含めての懸命さと好感を持つ、上手く言い包めて波風立てずに進む方が楽なのに…

そんなこんなを息子と話しながら、来た時にバスから見えた天文台に立ち寄る事にした。


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昼時なのもあってか、東京とは信じられない豊かな木々と大きな青空をほぼ貸し切り?

まだ紅葉には少し早い。


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開いたドームを見てやっと思い出した!

ここはゲーム『FRAGILEさよなら月の廃墟』のスタート地点のモデルだった!


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息子と一緒に攻略した。

幽霊が本当に怖くて、レトロな造り込みには心を奪われた、主人公の悲しい旅を最後まで二人で付いて行った(バトルは息子担当)

冒頭の、「おまえがこの手紙を読む時、私はもう居ないだろう…」というおじいさんの手紙で号泣し、ラストのナレーションに息子共々衝撃を受け、「どういう事!?」と問う小学生に、動揺を抑えきれずに「人は皆いつかは死んじゃうんだよ!」と行ってしまった事を今も悔やんでる、それが『FRAGILE』だった…

 

今、私は夫の『死』を受け入れたくなくて、「生きている」とは「死ぬ」とは「いのち」とは…という問いに塗れて、本を読んだり講座を聞きに行ったり、哲学対話の場に行ったりして足掻いている、溺れながら…

そうして出会ったオートポイエーシスという概念?そこから手繰った荒川修作は「人間は死なない」と断言していた。

 

「人間のいのちは個人の体の中なんかにはない、人と人の関わりの中、関係の中にある」

 

やっと、私が胸に受け取れる考え方に出会えた。

帰宅して息子と話した。

荒川氏に反発していた息子も、「それで気が済むなら」と。

息子「死んでいても関係は消えないけどね」

私「過去の、終わった事と思いたくないから、それを死なないと思いたい」

今回も導かれた、今後も夫の思いを頼りに生きて行くつもり。