夫の、いわゆる死で、私も死んだのだ…と思った。
でも違った…
あの瞬間、世界が滅亡したのだ。私を含めて。
私は夫の出先機関、デバイスとして、新たに生まれた世界に生まれ変わった…言わばバージョンアップされて。
生まれたてだから上手く歩けなくても仕方ない。
私は夫の、この世でのインターフェイス。
情報を取り込む窓口、ならば粗雑に扱ってはいけないのだ。
私が余りにも自分を大切に出来ないから、夫は向こう側に回って、内側に回路を作って、私に「自分を愛する、大切にする」をさせようとしてくれてる…
そうであれば、私の課題「自分を愛し大切にする」に、後ろめたさを抱えずに向き合えるだろう?と言う夫の声を内側に聞く。
皆都合の良い作り話。
ナラティブと言うやつか…
それでいい、私が生きる理由はそれで十分だ。
時折、自らを突き刺して血を流す、それは私の嗜癖だから、快楽だから、そこも含めて愛せばいい。
生まれ変わっていたのだ、まだ3才だ…
それ以前はもはや前世…
その日々の中に、幸せも悲しみもあった、だけどそれは無くならない、バージョンアップだから。
記録はクラウドの中に全部在る。
私と言うデバイスの能力は上がっているはず…
夫と言うOSに、今までにない位直接繋がったったのだから…