Mosquitoes regret

喪失と自責の記

シンクロニシティ

昨日、注文した本がもう届いた。

以前、朗読ボランティアでお預かりしたのは、この文庫の発行前に刊行された単行本だったのだろう。

単行本1995年2月刊行、

文庫本1998年第一刷発行となっている。
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手軽な文庫で探したが、新品が見つからず古本を取り寄せたのだが、そのリストの中に夫の職場と関係のある店が表示された。

単なる偶然だが、動揺した。

夫の、仕事に対する強い想いを、こんな所でまで感じさせられた。

シンクロニシティと言う言葉が浮かぶ。

これも何かの因縁かと、その本屋から購入した。

今、その本を手にして複雑な気持ちでいる。

 

この本を、かつて私は本当に読みあげたのだろうか…

主役とも言える、光さんは私と同い年。

『三歳のときすでにベートーヴェンショパンに敏感に反応し…』と、本の後面に紹介されている。

3歳の時、私たち一家は6畳一間風呂無しトイレ共同のアパートに暮らしていた。

その環境の落差を、当時の私も僻んだだろうか…

これから読んで行こうと思う。

まとまった文章が久しく読めなくなっているから、挫折するかもしれない。


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あの頃、仕事を続けられなくなって辞めたけれど、夫は働けるうちは働いた方が良いと考えていたから、大した家事でもないのに家に居る事が後ろめたく、せめてもの言い訳のように朗読ボランティアを始めたのだ。

朗読ボランティアを始めた事、依頼されたのが大江健三郎の本だった事、依頼者が身体が動かない男性である事、皆、夫に話したはずだ。

その時、そんな辛い病気の人も居るのだと知ったのに、私は呑気に時間を浪費して…いや…それなりに必死で子を育てて来たのだけれど、いつの間にか記憶の奥底に沈めてしまっていたのだ…

 

夫が不治の難病になると言う、信じ難い現実に突き当たるなんて、欠片も思わなかった…

その薄情さへの罰なのか…

私が引き寄せたのか…

私がすべき事を怠ったから、夫に病を与えたのか…

そんなの酷い…

私じゃなく、夫に謝って欲しい!

罰なら私に下せばいい!

 

この本で何かを学べるだろうか…

何かを思い出せるだろうか…